イタリアン・マフィア史上最大のスキャンダルを描く、『シチリアーノ 裏切りの美学』【今月のプロ押し映画!】

監督は、“イタリア最後の巨匠”マルコ・ベロッキオ。81歳にして最高傑作と称された今作で彼が描き出すのは、1980年代初頭のイタリアを震撼させたマフィアの大スキャンダルとそれに続く大裁判の史実。血の掟に背き、政府に協力した男を突き動かしたものとは。

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〈至高の名脇役〉最新版ポテトサラダ特集/進化し続けるイノベーティブ編

【前編】和洋中で進化し続けるポテサラ最前線

メニュー表で見かけると、ついつい頼んでしまう料理ってありますよね。居酒屋では欠かせないポテトサラダにはじまり、とりから、モツ煮、カプレーゼなど……。どれもメイン料理ではありませんが、そのお店に欠かせない定番料理であり、名脇役でもあります。また、お店ごとの個性やこだわりが強いのも魅力のひとつ。人気ドラマの陰には必ず優れたバイプレイヤーがいるように、人気のお店には、必ず名脇役のおいしい定番料理があるのです。

本連載〈至高の名脇役〉では、そんな定番料理を一品ずつ取り上げて、毎回オススメの店舗をピックアップ。元女性ファッション誌編集長でありながら、年間600軒以上の飲食店を食べ歩く自他ともに認めるグルメの私、大崎安芸路が実際に食べておいしかったものだけを紹介させていただきます。

 

記念すべき一品目は、定番中の定番、みんな大好きな「ポテトサラダ」を2回に分けて紹介。居酒屋系の王道ポテサラに対して、最近では創作料理の題材として様々な解釈やアレンジがされ、イタリアンや中華料理の名店でも看板メニューとしてポテサラが注目を浴びています。前編では、そんな既成概念にとらわれない、ポテサラ界のイノベーティブフュージョンとも言える、4店舗の自信作をセレクト。また、初回ということで、自分が最も得意とする渋谷・恵比寿付近で厳選してみました。

1. ピータンのポテサラ!? と思わせる美しいひと皿

「卵だらけのポテトサラダ」coyacoya(恵比寿・中華)

「卵だらけのポテトサラダ」600円

清潔感のあるカウンターのみのモダン&カジュアルな店内。スキンヘッドと髭がトレードマークの店主の風貌からは想像できない、繊細で華麗な盛り付けと味付けで、女性に絶大な人気を誇る恵比寿の中華料理店「coyacoya(コヤコヤ)」。気さくな店主との会話も食事を盛り上げてくれます。

 

中華の枠に収まらない、オリジナリティ溢れるラインアップのなかでもとりわけ人気メニューなのが、この「卵だらけのポテトサラダ」。まず目を引くのは、一瞬、中華だけにピータンと思ってしまうような、しっかりと漬け汁の染み込んだ煮卵のトッピング。上には砕いたアーモンド、ピンクペッパー、ディルが散りばめられていて、センスの溢れる華やかな盛り付けがより食欲をかきたててくれます。

また、見た目だけでなく、香ばしいナッツとハーブが、シンプルながらも濃厚なポテサラのアクセントになり、味の奥行きを演出。しかも、ポテトサラダ自体にもたっぷり卵が使われているので、卵好きにはたまりません。まさしくヌーベルシノワの名に相応しい、中華ファンも、ポテトサラダフリークも満足させてくれる一品です。

 

2. ワインに合う、ビストロ仕立ての贅沢ポテトサラダ

「フォアグラ入りポテトサラダ」LOVAT(恵比寿・イタリアン)

「フォアグラ入りポテトサラダ」 950円 (税抜)

恵比寿駅西口を出て徒歩5分、渋谷橋を左に曲がってすぐにお店を構える「LOVAT」は、デートスポットの聖地恵比寿にふさわしい、ビストロのニュアンスを併せ持つイタリアンレストラン。200種のワインとA5ランクの黒毛和牛の赤身肉のマリアージュを楽しめるお店です。さまざまな部位が食べられる黒毛和牛の豊富なメニューに負けない人気を誇るのが、ちょっと贅沢なポテトサラダ。

 

まるごとのった半熟卵の存在感はさることながら、特筆すべき具材はフォアグラ。フォアグラはブランデーで一晩マリネしたものをテリーヌにし、サトウキビの砂糖でキャラメリゼしたこだわりよう。さらにアクセントを出すために、南イタリアの赤玉ねぎと長芋を使用しています。

濃厚なフォアグラのテリーヌと自家製のマヨネーズを使ったポテトにシャキシャキとした食感が加わり、より奥深い味わいに。ぷるぷるの半熟卵にナイフを入れるとゆっくり流れ出す黄身を、しっかりとポテトやフォアグラに絡めながら一緒に口に運んでいただきたいです。高級食材のフォアグラと、大衆的なポテトサラダの組み合わせは、まさにビストロ仕立ての新しい一皿。ぜひ、ワインと一緒に味わいたいポテサラです。

 

3. 決め手は、焦がしバターとニンニクの効いた肉厚ベーコンの焼き汁

「ポテトサラダ」松濤はろう(神泉・居酒屋)

「ポテトサラダ」700円(税抜)

 

都会の喧騒から離れた一角にある、神泉の隠れた名店「松濤はろう」。大将の井上隆之氏と女将の仁美さんの夫婦二人で切り盛りする日本酒と和食のお店です。
シンプルなラインアップながらも一品一品がオリジナリティに溢れ、繊細な味付けと気配りの行き届いた盛り付けが魅力。

 

当然、定番のポテトサラダにも「はろう」らしさが光ります。ベースは、マヨネーズが少なめのシンプルなジャガイモとゆで卵のポテトサラダ。そこに、フライパンでバターとニンニクと一緒に香ばしく炙った、アツアツの角切りベーコンがのせられます。そして、最後にベーコンの旨味がぎゅっとつまった香ばしい焼き汁をフライパンからそのまま回しかければ、ビールだけでなく日本酒との相性も抜群の「はろう」名物ポテトサラダの完成。

肉厚でジューシーなベーコンとホクホクのポテトサラダの組み合わせは、一口食べるとベーコンの肉汁とジャガイモ本来の上品な甘さが口の中に広がり、思わず笑みがこぼれます。焦がしバターと牛乳で煮た後に潰したニンニクとベーコンの肉汁から出来上がる香ばしい焼き汁が味の決め手。素材を生かしたシンプルなポテトサラダに旨みとコクをプラスして仕上げてくれます。

 

「日本酒が飲めないお客さまはお断り」という、ちょっと変わったこだわりも納得の、和食屋さんの絶品ポテサラです。

 

4. ポテサラをイタリアンの新解釈でアンティパストにすると……

「名物! 陽気なポテトサラダ」AURELIO(神泉・イタリアン)

「名物!陽気なポテトサラダ」550円(税込)

「これがポテトサラダ!?」もはや違う食べものとしか思えないのですが、一口食べれば納得の一品。いつも満席で賑やかな、神泉を代表するトラットリア「AURELIO(アウレリオ)」の看板メニューのひとつです。

 

ムース状の滑らかなポテトサラダの上には半熟卵と粉チーズがのっており、この半熟卵をとろりと割って、自家製のバゲットにたっぷりつけていただきます。

更においしさを引き出しているのが自家製のマヨネーズで、なんと隠し味にはシチリアのデザートワインの一種であるマルサラ酒、「ヴェッキオ・サンペーリ」を使っているとのこと。このヴェッキオ・サンペーリは、あえて酸化熟成をさせた特殊なワイン。これをヴィネガーの代わりに使うことで、通常のマヨネーズとはまた異なった風味を味わうことができます。この酸味と卵のまろやかさのハーモニーが、一度食べたらやみつきになるおいしさの秘密です。

 

限りなくクリーミーなペースト、ふわとろの半熟卵、柔らかく程よい甘みのパン。どれも軽やかな食感にこだわった素材を、三位一体で味わうことができる変わり種。ポテサラでありながら、スパークリングや白ワインと一緒に、スターターとしてもオススメです。

 

進化し続けるポテサラから、今後も目が離せない!

ポテサラの発祥は、ロシア、ドイツなど諸説ありますが、日本では独自の進化を遂げていて、和洋中さまざまなジャンルで定番料理としての確固たる地位を築いています。次回は、そんな新しい流れをものともしない、和食、居酒屋系の王道クラシックスタイルのポテトサラダを紹介します。

 

企画・文・写真:大崎安芸路(Roaster)

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〈噂の新店〉広尾の隠れ家。イタリア料理の進化がうかがえる新進気鋭の店

カウンター席のみのイタリアン。シェフの手技を間近で体験

座席数わずか9席、カウンターのみのシックなイタリアンレストランで腕を振るうのは、三軒茶屋の人気店やイタリアで研鑽を積んだ青木克大シェフ。王道のイタリア料理を根底に持ちながらも、イタリア料理の新たな可能性にチャレンジする料理人だ。

都内の人気イタリア料理店や出張料理、和食など豊富な経験を持つ青木さん。

青木さんが目指すのは「イタリア料理の進化」と「日本とイタリアの融合」だという。日本とイタリア。それぞれの地域で育まれた伝統的な料理を大切にしながらも、時代に合わせて新しい手法や食材を取り入れ、それを積み重ねていくことで次の世代につなぐ料理を生み出していきたい。その思いを支えているのが、多彩な経験だ。三軒茶屋にあった「グッチーナ」で料理人としてスタートしたのち渡伊。イタリアではフィレンツェで、自分が気に入ったお店を直接訪ねて研鑽を積んだ。帰国後は南青山のイタリアンや出張シェフ、和食店などでも経験を重ねている。
その経験すべてが込められ、さらに様々なアイデアが込められているのが「RAMA」なのだ。

RAMA 外観
広尾駅や白金台駅、恵比寿駅から徒歩10分以上。隠れ家的な「RAMA」。

ひと包みでアクアパッツァが味わえる贅沢

RAMAを初めて訪れる人にオススメなのが、8,000円の「おまかせコース」だ。メニューには記載されておらず、初めての人にだけ紹介するコースだという。このコースならば、同店らしさが詰め込まれた“つきだし”から始まり、寿司、トリュフのパスタまで楽しめるので、うってつけだろう。

 

コースの最初に出てくるのは、“つきだし”の「アニョロッティ ダル プリン」。いわゆるアミューズだ。ピエモンテの郷土料理である「アニョロッティ ダル プリン」は、一般的には肉を使うが、同店ではタラやアサリなどの魚介類を煮込んだものを使用。そこに、アサリのスープをサフランで香り付けしたソースをかけている。少し大きめに作られており、アニョロッティの中にアクアパッツァが入っているかのように濃厚な魚介のうまみを味わうことができる。

RAMA「アニョロッティ ダル プリン」
つきだしの「アニョロッティ ダル プリン」。コースでなくとも、最初に出てくる。

日本の寿司とイタリアを融合させる、ドライトマトの醤油

イタリア料理を進化させ、新しい扉を開いていく青木さんならではのメニューのひとつが、コースやアラカルトで味わえる「寿司」だ。かつて勤めていた店のホールスタッフが、まかないに「お寿司が食べたい」と言い出したことで思いついたという。「イタリア料理で寿司? と一瞬、驚いたのですが、考えてみればカルパッチョ用の新鮮な刺身があって、お米もビネガーもある。足りないのは醤油だけ。何か代用できるものはないかと調味料を見渡していたときに目に留まったのがドライトマトのピューレでした」と青木さんが見せてくれたのが、ドライトマトからつくった醤油だった。

 

トマトには、醤油と同じうまみ成分のグルタミン酸が豊富だ。当時、店で自家製パンを出していたことから天然酵母があったそうで、醤油もつくれるのではないかと思いついたという。試行錯誤を重ねた結果、ドライトマトのピューレからジュースを2回搾り、発酵させるなど手間暇かけたイタリアンな醤油が誕生した。

RAMA ドライトマトの醤油
ドライトマトと知っていて味見をすればトマトの酸味を感じるが、知らなければ「うまみのある醤油」そのもの。

その醤油を使っているのが、旬の魚の寿司だ。取材時には桜鯛の押し寿司が提供された。厚めの鯛の押し寿司をオーブンに入れ、ほんのり温かい状態で提供される寿司には、ドライトマトの醤油がかかっている。バーナーで皮目部分を軽く炙っているので、香ばしさとドライトマトのうまみとコクが合わさり、見た目はどう見ても寿司なのに、やはりイタリア料理であると思わせる、不思議な一品だ。

RAMA 桜鯛の押し寿司
粒が大きめの米を使用しているので、厚めにカットされた桜鯛とのバランスがよい。

トリュフのパスタをつまみに、赤ワインを嗜む

全11品のコースには、青木さんのスペシャリテである鴨料理や、同店の人気パスタであるトリュフのパスタ「タヤリン タルトゥーフォ」が入っている。

 

「タヤリン タルトゥーフォ」は、自家製のブロード(出汁)をからめた手打ちのタヤリンにパルミジャーノチーズをたっぷりとかけ、仕上げにトリュフをのせていく。トリュフのパスタの場合、トリュフはスライスしたものを使うが、この店では細かく削って振りかけている。それらをしっかりとかき混ぜてからいただくため、トリュフとパスタが一体化し、どこをどう食べてもちょうどよいバランスとなって味わうことができるのだ。また、一般的なタヤリンより少し太めにし、パスタがすぐにくったりしてくっついてしまわないようにした。そのため、ゆっくりと食べ進めることができる。チーズの濃厚さも加わり、赤ワインと合わせてつまみのように楽しむこともできるパスタだ。

RAMA トリュフのパスタ
チーズとトリュフが絡み合い、芳醇な香りと濃厚な味わいが楽しめる「タヤリン タルトゥーフォ」。

夜中2時までオープン。ハイセンスなのに居酒屋的な雰囲気

夜中の2時までオープンしているカウンターのみの店のため、夜遅くまで仕事をしている人や、深夜に小腹が空いたので軽く1杯だけ飲みたいという人が立ち寄る「RAMA」。店構えやインテリア、盛り付けがハイセンスなのでハードルが高いと思いきや、青木さんの気さくな人柄から居酒屋のように立ち寄れるのもうれしい。また、遅い時間からでも好きな銘柄が楽しめるよう、グラスワインが豊富に揃っている。少なくとも赤白各8種類、スパークリングも2種類ほどを用意しているため、軽く飲みたい人も、いろいろな種類を楽しみたい人も満足できるだろう。

 

ワインを選ぶのは青木さんだ。イタリア料理だからといってイタリアワインに限定せず、もっと自由な観点でワインを選んでいると言い、世界各地のワインから自分の料理に合うものを厳選。例えば、シリアのワインなど、国にこだわらず飲んでおいしいものを仕入れている。
もちろん、料理はアラカルトがあり、紹介した「おまかせコース」の料理も単品で注文できる。1軒目としてしっかり食事を楽しむ以外にも、ワインバーとして立ち寄ったり、食後のコーヒーとデザートだけ利用したりといった贅沢な使い方まで幅広いシーンで利用できる店だ。

RAMAのワイン
グラスワインは1,000~1,300円が中心。ときに1,800円ほどのものを出すこともある。

新しいイタリア料理の可能性を楽しむ

青木さんが大切にしているものの中に、客とのつながり、客への感謝がある。だからこそ、すべての料理や工程に手間をかけている。冷製や常温のものが多い“つきだし”に、あえて手間をかけて温かいものを出すのもその表れだ。なおかつ、それが手間のかかる詰めものであるのは、青木さんの「来てくださってありがとう」という気持ちが表現されているからだろう。

 

そして何より、イタリア料理を進化させて新しい世界を広げていき、それを客と一緒に楽しんでいきたいという青木さんの思いそのものが、この店の魅力だ。すべての食器を作家物の和食器にしているなど、細部にまで日本とイタリアを同時に楽しむ遊び心に溢れている。イタリア料理の店は数多くあるが、日本とイタリアが交わった一歩先を行くイタリア料理がここから始まっていくのかもしれない。

RAMA内観 カウンター席
カウンター9席のみの落ち着いた空間。シェフとの会話も食事のエッセンスだ。

※価格はすべて税・サービス料別

<店舗情報>
◆RAMA
住所 : 東京都港区白金6-21-12 大石ビル 1F
TEL : 050-3134-3399
営業時間 : 18:00~翌2:00 (L.O.翌1:30) ※カウンター9席しかございませんので、ご予約をお勧めいたします。 深夜帯はお食事だけでなく、…
定休日 : [不定休] ※2020年8月のお休みは、4日(火)、13日(木)、14日(金)、15日(土)、25日(火)、31日(月)の予定です。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。
※本記事は取材日(2020年4月8日)時点の情報をもとに作成しております。

取材・文:岡崎たかこ(grooo)
撮影:玉川博之